実践事例を見る(35)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 泊小学校
所在地 鳥取県湯梨浜町
URL http://www.torikyo.ed.jp/tomari-e/index.asp
電話 TEL(0858)34-2692/FAX(0858)34-2693
学年 3,4,5,6学年
テーマ
求める夢 広がる喜び
カテゴリー ひと・こと・もの

 実践の中身はWEB上ではつかみ取れません。しかし、体験学習で積み上げてきた成果は総合学習の中で学校の教育理念として培われてきているようですので、取り上げました。総合的な学習の時間に対応して創り上げたものではなく、これまでの実践から学びの創造が行われていることがつかめました。
 以下、泊小の考え方の一部を引用しておきます。

1 「はじめに子どもありき」について
 本校は、総合学習への取り組みを始めて本年度で16年目を迎える。その基本となる理念は「はじめに子どもありき」である。子どもと教師が一体となって「ともに創る学習」を継続研究し、子どもたちの意欲を高め、その能力を存分に発揮することのできる活動を展開してきた。総合学習において、子どもたちはさまざまな材(ひと・もの・こと)と出会い、積極的にかかわり、豊かな体験をする中で、自ら追究する学びの主体者となっていった。学級一丸となって夢を求め、困難を乗り越え、ともに学び実現してきた事実や喜びは確かなものとして個々の心に蓄えられ、そして固有の認識として息づき、やがて生きて働く力として発揮されるものになるであろうと思われる。その意味においても、今後も子どもの内発的な求めや体験活動を大切にしていきたい。
2 「求める夢 広がる喜び」について
 子どもの夢や想いは、「夢」や「希望」として語られ表れてくる。その夢は一人一人違っていて一つとは限らないが、小さな夢から大きな夢までたくさん持っているに違いない。それらの「夢」を語り追究していく中で、友だちの夢と出会い共感できる「夢」にまとまって、挑戦していきたい共通の目標となっていく。一人ではかなえることのできない夢の実現に向けて、友だちや教師と共に創る学習がここでスタートする。
 自分たちの「夢」だからこそその価値は大きく、あふれる「意欲」となるであろう。途中に味わう様々な問題や困難を乗り越えていくことのできる原動力となるにちがいない。しかし、たくさんの困難を乗り越えていくためには、意欲のみならず、「学習方法」の工夫が必要となる。仲間とともに工夫して計画的に学習を進めていく中で、より生きた知識やより確かな技能を獲得していく過程が生まれてくる。また、活動の広がりとともに、「ひと・もの・こと」との新たなる出会いによって、より「豊かな感性」が培われていく。学習の過程の一つ一つが、夢に向かっていく喜びや着実に夢が実現していく喜び、やり遂げた感激が、個々の児童の心や学級の中に広がっていく。

 学力低下論で騒がれている巷ですが、子どもたちの学びを大切にしていく取り組みは成果がすぐに表れないという意見がしばしば出てきます。力がついているのかどうかつかみきれないもどかしさも、実は実践に当たって、先生方の意識が確かなものであるかどうかにかかっていると思うのです。子どもを主役にして学びを創ることができていたならば、必ず子どもたちは新たな学びを切り開いていくことができます。担任の先生が変わっても、先生の意識を変えた理念が学校の中に育っていれば自信を持って積み上げていくことが可能だと思います。
 総合的な学習の時間が縮小されても当然だと考える先生の中には、総合的な学習の時間で扱われる指導法は確立されていないと言い切る方がいます。私は、この意見に納得することはできません。指導法が確立されていないのではなく、指導法を変える意識改革が進んでいないと考えます。
 そもそも、教科の指導法についても一元的に最も効果のある指導法として確立されたものは現在のところ見あたりません。試行錯誤の研究の結果は完成された一つの理論ではなく、こういう指導法も効果があるというぐらいの成果が行きつ戻りつ公表されているのが現状です。
 単に指導法といっても、学級集団の特徴、先生の力量、考え方、学習素材などで左右されますから、これが最善の指導法ですと言うことは永遠に出てこないでしょう。指導法は3つの基本的要素を駆使しながら語られてきました。その成果を短期的、長期的に評価していっても、一元的な指導法は出てこないことはお分かりいただけると思います。

 短期的な成果は、プロとしての先生が子どもたちの関心や意欲を主観的にとらえるしかありません。これは、総合の時間に限定されることなく、あらゆる学びの場で見取っていくことだと私は考えています。