実践事例を見る(34)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 熊野川小学校
所在地 〒647-1211 和歌山県東牟婁郡熊野川町日足570番地
URL http://www2.town.kumanogawa.wakayama.jp/kumasho/index.htm
電話 tel:0735-44-0313 fax:0735-44-0906
学年 3,4,5,6学年
テーマ
地域に根ざした環境教育を創造する
カテゴリー 地域、環境

 長年取り組んできた環境教育を生活科や総合的な学習の時間にも位置づけています。いわゆる、知の総合化をねらったカリキュラムがいくつかの大学附属小学校で開発された時期がありますが、類似した考え方です。学年単位ではなく6年間を見通した計画になっています。
 熊野川小がめざしている環境教育についての基本的な考えの前段を以下の抜粋して引用します。その後に環境教育の4つの柱を引用しておきます。

本校においての環境教育の取り組みは、各教科、道徳、特別活動等、全教育活動を通して行なうものと位置付けている。それは、環境教育の大切な観点である共生認識は各教科やひとつの領域だけで身につくものではないと考えるからである。そして、この共生認識を生み出すもとになるものとして自然との共生体験活動を大切にしていきたいと考えている。すなわち、子ども達が自分の住んでいる地域の自然のすばらしさを五感を通して体感する。そんな経験を積み重ねていくことにより、自分達の生活と自然とのかかわりの深さを理解したり自然のもつ美しさに感動したりする心が生まれてくるのである。さらにこれらのことは、単に感性や体験だけの問題ではなく、各教科等で培われる学習内容とも深くかかわりをもっていると考えている。いわゆる基礎的・基本的な学習内容が児童一人ひとりに確実に浸透しているほうが、より深く心にとどまることであろう。

今年度の環境教育の柱
(1)感性を育成する。
  ・田んぼ水族館での自然との共生体験を基盤にする。
  ・五感を用いて自然に迫る。
(2)多様な表現活動をする。
(3)環境を大切にする実践力を身につける。
(4)交流活動をする。
  ・地域の人々から学ぶ。
  ・情報機器を利用する。
  ・他地域の人々と情報を交換する。


 地域の状況をうまく活用して、休耕田を田んぼ水族館に仕立てて学びの場を設定しているところは優れています。また、総合的学習の時間の年間指導計画には地域の特性を生かした学習素材が用意されています。欲を言えば、関連する教科とのつながりやねらいが明確になっていると環境教育の全体像が分かりやすいだろうなと思いました。
 環境教育として総合的な計画を打ち出すならば、「人権総合学習」で示されたような全体像が参考になると思います。つまり、環境を学ぶための環境教育としての年間指導計画を示すほうが分かりやすいということです。教科、領域の枠組みから計画を示すと教科、領域の特性やねらいが色濃くなり、環境教育の全体像が薄まります。
 生活科の名称になるまでに「環境科」という候補があったことは以前述べました。大学の学部や学科の構成名称に「環境」の文字が入ることも多くなりました。「環境」という言葉が包括する意味は多岐にわたります。それだけに総合的な視点が色濃い年間指導計画の方が明解ではないかと思うのです。

 実践が継続していることは、何よりも素晴らしいことです。常に創造と発見があるならば、子どもは確実に学びを広げ、深めることでしょう。しかし、継続の中身を振り返りながら実践しないとマンネリ化、形骸化という事態が起こることも避けられません。そうならないためにリーダーシップを発揮している先生方のさらなる活躍を期待します。