実践事例を見る(33)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 野川小学校
所在地 〒637−0424奈良県吉野郡野迫川村中369
URL http://www4.ocn.ne.jp/~nokawa/index.htm
電話 TEL:07473−7−2206 FAX:07473−7ー2036
学年 3,4,5,6学年
テーマ
ふるさと
カテゴリー 地域

 平成15年度末で統合し、閉校してしまった極小規模の小学校ですが、WEBページは残されていました。地域の特性を生かした2つの実践が紹介されていましたので、取り上げました。紹介されているのは平成14〜15年度に取り組まれた内容だと思います。以下に、野川小の総合的な学習の時間の概要を引用しておきます。

 「ふるさと」をテーマに活動しています。1学期は高学年が野川小学校の歴史の本を編集、中学年が地域の聞き取りを行い、昔の遊びや郷土料理についてまとめました。2学期は、地域の産業や民話などのほりおこしを行い、3学期の凍り豆腐作りにつなげていきました。

 
「凍り豆腐作り」と「こんにゃく作り」は地域の方々、保護者の方々の手ほどきを得ながら、できあがるまでの過程がていねいにまとめられています。特にコツを必要とするところがきちんと示され、ふるさとで培われてきた生活の知恵が伝わってきます。WEBページの作成を親子でしている点も見逃せません。極小規模だから小回りがきいてできるというのではなく、協同作業をする発想を大切にしたいと思います。
 豆腐作りはよくありますが、凍り豆腐までつなげた実践は初めてでした。普通の豆腐を単に凍らせたものと思いこんでいた私の理解は甘かったことがよく分かりました。
 こんにゃくや凍り豆腐は自家製の保存のきく食料です。「にがり」「あく」と出会うことによって変身しますから、学習素材としては広がりが期待できるでしょう。作って美味しかったという過程のどこに学びが潜んでいるかを見逃したら、「美味しかった」しか残りません。また、「あく」は紙づくりや草木染めにつながっていきますが、保存食をキーワードとしていくと「こうじ」「酵母」へとつなげることも可能です。
 身近に口にしている調味料や食材の中には家庭で作られたものが数多くあります。長年伝承された食文化の衰退を人ごとのように憂慮する前に実体験を通して科学的に理解することは、将来の農業政策の論議にまで発展するでしょう。
 暮らしに直結する生活体験は、便利な道具が登場しても、店頭で手軽に買えたとしても、どこかでくぐらせないと生きる力に結びつきません。洗濯機や炊飯器があっても手洗いを体験し、鍋でご飯を炊くことは省略してはいけないでしょう。鉛筆削りやシャープペンがあっても小刀やカッターナイフで削ることに学びの意味があります。