実践事例を見る(30)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 園部町立西本梅小学校
所在地 〒622-0066 京都府船井郡園部町南八田中山17
URL http://www.sonobe.ed.jp/nishihonme-es/
電話 Tel 0771-65-0014・Fax 0771-65-0662
学年 全学年(1,2年は生活科の時間を主に位置づけ
テーマ
生活体験学校
カテゴリー 自然、環境、料理

 学校行事としての宿泊研修を単学年で総合的な学習の時間の一部に位置づけている事例はあちこちにあります。ところが、西本梅小学校の実践は、全学年が一斉に2泊3日の体験学習をしていましたので、目にとまりました。配当時間からすれば、すべての総合的な学習の時間をつぎ込んでいるわけではありません。この体験学習以外においてもテーマを設定して計画されています。
 一般的には、修学旅行、林間学校、臨海学校などの宿泊的行事に体験学習の要素を加味したり、調べ学習、問題解決学習を仕組んだりしていることが多いと思います。
 平成13年度からの記録がありますから、ねらいに沿った成果は上がっているのではないかと想像します。以下に平成14年度版に記載されていたねらいを引用しておきます。

学社連携を一層深め、自然の家で、豊かな自然環境を生かした体験的、問題解決型の学習を行い 異年齢集団での共同生活や自主的な活動を行ったりする、 などの体験を通して、「生きる力」を育む。

 3日間の体験学習で過剰な期待をしてはいけませんが、体験がきっかけとなって子どもたちの生活に変化が確実に起これば成果はあると思います。そのためには、学習プログラム以外の生活プログラムに自立を促す方法が仕組まれているかどうかが鍵になるでしょう。
 生活面で不安材料をなくすという配慮から、往々にして指導者の過剰な手出し、口出しが多くなります。そこをいかに自立させるかが宿泊体験の成果につながる要と言えます。3日間でも意義があるというためには、前後の変化を子どもたちがとらえ、日常的な実践に生かせるよう学校も家庭も柔軟な対応をしていきたいところです。
 学習も生活も基盤になる考え方は変わらないととらえることで、宿泊体験学習の意義が見いだせると私は考えています。自立、主体性、自発性、意欲などは、学習、生活のどちらにも期待されるものです。至れり尽くせりの生活感覚の中で、そうした価値観を育むことは足の引っ張り合いみたいなものです。だからこそ、短期間でも宿泊体験学習は意味があります。

 宿泊体験は長ければ長い方がいいと主張する方もおられます。先生だけでは大変だから保護者の応援が欲しいと主張する先生方もおられます。しかし、基本的な考え方として、体験し、学ぶのは子どもであることを忘れないでほしいと思います。先生が作ったプログラムを消化させる宿泊体験になっていないか、振り返ってみれば、計画の中で一番大事なことが明確になるでしょう。