実践事例を見る(29)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 能登川町立能登川西小学校
所在地 〒521-1235滋賀県神崎郡能登川町伊庭2885番地
URL http://www.notogawanishi.ed.jp/index.htm
電話 TEL:0748-42-0139FAX:0748-42-0139
学年 3,4,5,6学年
テーマ
ふるさとに学び、自ら歩み共に生きる力(自立と共生)を育てる『さんさんタイム』
カテゴリー 地域、自然、環境、国際理解、健康つくり、コミュニケーション

 健康つくりの研究指定とからませて総合的な学習の時間を構成しているところに興味を引かれました。保護者向けの説明がありましたので、抜粋して紹介しておきます。

 子どもたちに、自ら課題をもち自ら考え判断して問題を解決する力や人との関わりの中で主体的に学ぶ力などの生きる力の基礎を身につけさせることをめざし、主にふるさとに学ぶ活動を進めます。
○ふるさとに学ぶ自分づくり 【ふるさと学習】

自分の周りに生きる家族や地域の人々・外国の人、自然や歴史文化、環境問題に主体的に関わり、自ら課題を見つけ、知り、考え、問題を解決し、まとめて伝え合ったりする力を身につける学習活動
 ・地域の人・自然・社会を通して学ぶ活動 
○生きる力の基礎づくり 【健康つくり学習】

健康つくり学習 人間関係能力育成学習 英語に親しむ学習  人権学習 創造的な体験学習
○ひびきあい学び合い
 情報を活用して学ぶ力や学び合う仲間やお世話になる家族、地域の人々などと良好なコミュニケーションをとって学ぶ力を身につける。
 [取材・調査、話し合い・討論、プレゼンテーション、コンピューター操作などの活動]


 研究紀要の部分と総合的な学習の部分を重ねながら見ていきましたが、それぞれのねらいと設定された内容が、どのように関連していくのか分かりにくいという印象を受けてしまいました。
 アウトラインを追っていくと、自尊感情の育成を土台に人間関係能力、コミュニケーション能力を育て、地域とかかわる中でふるさとについて学ぶという意図が伝わってきます。
 分かりにくさの理由は、健康つくりでめざす子どもの姿と総合的な学習の時間でめざす子どもの姿が一致していないからだと思います。どちらの括りも大きな範囲のテーマとなっていますから、接点がいくつかの場面にあります。ところが、健康つくりのために総合的な学習の時間の一部が位置づけられているように読み取れたわけです。逆に総合的な学習の時間の計画から見ると、健康つくりを生きる力の基礎づくりにはめ込み、英語学習や人間関係能力育成学習と同列にしているため、カテゴリーの順位が逆転しているのかなと気になりました。

 人権や健康などのカテゴリーは、それだけで総合的な学びが組み立てられる内容を持っています。そのうえ、相互に補完しあう考え方が接点としてあります。
 例えば、それぞれで命を取り上げると、命の上位の階層に生きるという共通点が見いだせるはずです。そして、命と生きるが絡み合っている網の目構造を整理していく根拠になるのは、子どもたちがどんな問題意識を持つかという実態です。命に関する問題は、枝葉のように広がって人権が色濃いものもあれば、健康が色濃いものもあります。要は、健康つくりを推進していても人権学習は隅に追いやれないことですし、逆に人権学習を推進していても健康つくりは隅に追いやることはできません。
 総合的な学習の時間の年間計画を練るとき、いくつかのカテゴリーが候補に挙がってくると、1枚の紙面に構想を描いていくと接点がはっきりしてくると思います。ただ、心配なのは、2次元の形で表現しようと思うと難しく、どうしても疑似3次元になるでしょう。