実践事例を見る(25)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 池田町立池田小学校
所在地 岐阜県揖斐郡池田町
URL http://www.town.ikeda.gifu.jp/ikedasyo/index.htm
電話 TEL:0585-45-2681
学年 3,4,5,6学年
テーマ
「池田のひみつ発見」「わたしたちの東川」「環境とリサイクル」「共に生きる」
カテゴリー 地域、自然、環境、福祉、国際理解

 オープンスクール、個別化学習、個性化教育などのキーワードがお分かりの先生ならば、池田小のことは15,6年前からご存じのことと思います。学びの指導法を継承していることが当たり前と言えば、当たり前なのですが、多くの学校で実現しにくい理由を考えてみる価値はあると思います。
 オープンスペース、多目的スペースを配した学校です。しかし、他の多くの学校と異なる教室空間があるから、学びの指導法が継承されたとは言えません。なぜなら、そうした教室空間があっても、実践ができていない学校は多々あります。整備された教室空間をいかに教育活動に活用するかという主体的な創造が営まれてきたから、継承されたと考えるのが妥当だと思います。
 受動的な教育活動に慣れきっていると新たな条件、不足する条件は先生が克服する課題にまでなりません。そのことは数々の指導用備品が購入整備されながら、継続的に活用されないことでお分かりいただけると思います。購入された備品が荷ほどきされないまま何年も眠っていたという事実に何度も遭遇している私です。条件整備の不足に不満を漏らす前に、目の前にいる子どもたちに対する教育課題は何かを明らかにすることが一番求められているのではないかと思います。

 前置きが長くなりましたが、上記のテーマで紹介されている実践は平成15年度のものでした。それぞれの学年で、探求活動と実践活動に分けています。さらに、探求活動はコース別に分かれグループで取り組まれているようです。総合的な学習とは別に「いずみ学習」と名付けられた、一人ひとりが興味関心を持ったことを自分で計画を立て解決していく学習が紹介されています。
これが、学びの指導法で積み上げてきた実践だと思います。つまり、総合的な学習の時間の創設に伴って新たに立ち上げる必要がない実践を継続していたということです。
 基礎的、基本的な事項の学習についても「はげみ学習」という名称で続けられています。これは、池田小が最初ではなく、愛知県の方が先行していたと思います。学びの指導法を取り入れると二つの克服しなければならない問題があります。一つは基礎的な学力の低下です。この問題は中学校から予測されたり、危惧されたりした経緯があります。要はスキルによって、全員に確実に身に付けさせることで解決できます。
 もう一つの問題は、学習規律です。子どもたちが思い思いに学習を進めると勝手な行動をとって、集団としての収拾がつかなくなるのではないかという問題です。一斉指導と個別学習の切り替えを明確にすることで、この問題は克服されます。

 総合的な学習の時間がどうもうまくいかないと心配されている先生方は、一度、学びの指導法を参考にしてみると解決の糸口が見付かるかもしれません。その際、いいところだけをつまみ食いするのではなく、教育活動全体を総合的につかむようにしていただきたいと思います。そして、先生方自身の既成の意識とどこが違うのかということを見極めるようにしていただきたいと思います。