実践事例を見る(24)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 楢川小学校
所在地 〒399-6302 長野県木曽郡楢川村平沢1451-138
URL http://www.cnet-kiso.ne.jp/n/narasho/index.htm
電話 TEL:0264-34-2004 FAX:0264-34-3004
学年 3,4,5,6学年
テーマ
「ふるさと学習」
カテゴリー 伝統産業

 前回に引き続いて伝統産業の取り組みを紹介します。楢川小の特徴は総合的な学習の時間が創設される前から行われていたということです。昭和52年といえば、「ゆとりと創造」を提唱した指導要領が発表されたころです。特色ある活動として、学校裁量の時間に仕組まれた継続的な活動ではないかと思います。以下に概要部分を引用しました。

 地域の主要伝統産業である「漆塗り」の体験学習を毎年行っています。3年生から5年生までが,マグカップやお椀、サラダボールなどの木地に、約1ヶ月かけて、4回ほど漆を塗って自分の作品を完成させます。漆器産業に携わる地域の父母や伝統工芸士の方々を講師に招き、指導していただきます。
 以前は「産業教育」と呼ばれ,長い歴史と伝統をもつ本校独自の教育活動でしたが,
平成12年度より名称を「ふるさと学習」と変えて,本校の総合的な学習の一つの柱として大事に取り組んでいます。
 毎年6月の初旬に楢川村をあげての漆器祭が行われますが,その中で,6年生が自分たちで漆を塗って仕上げた漆器製品を売る子どもの店が開かれます。6年生は卒業制作として、漆塗りの木彫りの箱形オルゴールを作ります。やはり、漆器産業に携わる地域の父母や伝統工芸士の方々を講師に招いて指導していただき、一生の思い出となる世界に一つのオルゴールが完成していきます。

 中山間地の地域密着型の小学校、あるいはへき地、極小規模校では、「ふるさとに学ぶ」というテーマが多くの学校で掲げられています。これは、里山に暮らす先人の努力を引き継いでいこうとする願いを受けて取り組まれています。従って、長年の積み上げによって様々な条件が整えられている学校は、人が変わっても立ち消えすることはないと思います。
 学校裁量の時間と総合的な学習の時間の違いは、活動や体験の中に学びが仕組まれているかどうかというだけのことです。子どもたちの主体的かつ問題解決的な活動を促してきたならば、移行に当たっての問題点はないでしょう。活動することが定番になっているだけならば、行事消化型の取り組みになってしまいます。要は全体構想がきちんとできあがっている継続的な活動は、表向き乱暴に見えますが、配当時間の調整だけですむはずです。
 事例として取り上げた漆工芸は、里山で手に入る材料だけで行われています。技術を授かる過程で、人と自然が織りなす知恵を学び取っていくことができるならば、ふるさとに対する誇りは確かなものになるでしょう。そして、漆が塗る材料になるまで、漆を塗る木地ができあがるまで、漆器に仕上げるまで、それぞれに試行錯誤して技術の粋を集めて漆器はできていますから、探求する相手は奥が深いでしょう。