実践事例を見る(13)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 茨城県岩井市立岩井第二小学校
所在地 〒306-0632茨城県岩井市辺田1172-7
URL http://www2.ocn.ne.jp/~iwai2es/
電話 TEL0297-36-6524 FAX0297-36-3426
学年 3,4,5,6学年
テーマ
「人間と環境 」
カテゴリー 人間、環境

 詳細な実践はWEB上に紹介されていませんが、掲示物の写真から各学年のテーマを拾ってみました。

3年 岩井大好き!じまんしたいなわたしの町
4年 ふれあいネットワーク われら二小行動隊
5年 いのち(生きる)ってすばらしい!
6年 手をつなごう!私たち地球人

 学校全体のテーマが人間と環境になっているところから、柔軟に幅広く各学年のテーマを包括できるよさがあります。逆に広すぎて、どこから切り込めばよいか決めかねる欠点があります。しかし、何年か先を見通して展開していくためには、大枠のテーマはこれぐらいの広さがあっていいとわたしは考えています。理由は簡単です。具体的な取り組みが、すべて人間と環境につながっていくならば、子どもたちに求めたい価値観もとらえやすくなるからです。
 教科はカテゴリーを狭めて学習内容を構築していますから、教科としてのねらいが色濃く出てしまいます。例えば、3年社会科で自分の住む町の自慢を調べたとしても、学習のねらいは地域の中での社会関係に限定されます。ところが総合的な学習の時間に町の自慢を追究したとしたら、社会関係よりも人間の生き様に視点をおいて学ぶことが可能となります。この違いを知ったうえで、テーマを設定しなければ、常に教科の発展学習に終わってしまいやすいと思います。
 上記の6年で「私たち地球人」と設定すれば、国際理解教育のカテゴリーを思い浮かべる先生方が多いと思います。地球人=国際人というカテゴリーの先入観がありますから、国際理解によりどころを求めるわけです。しかし、ここで国際人=外国人という枠組みは2極化のとらえ方です。日本人と外国人です。あくまで地球人にこだわるならば、2極化して考える必要はなくなります。地球人としての人間の接点を求めるならば、言葉よりもダイナミックな文化になると予想しますが、いかがでしょう。異文化交流=国際交流という自然な流れを導くことができないでしょうか。
 「人間が生きるには」と看板を掲げると見方によっては大きな話だなと思われるかもしれません。そうではなく、人間が生きるにはどんなこととかかわるのか柔軟に連想していけると思うのです。国際理解も、環境も、食も、人権も、歴史も・・・何でも飲み込んでしまえるよさを持っています。
 詳細な年間指導計画は普通に実践するときは必要ないとわたしは書きました。1年間だけ一生懸命するなら苦労は報われるでしょうが、子どもたちは連続して7年から10年学んでいくのですから、それに耐えられるだけの骨格となるものを持たせる必要があります。例えば、算数、数学を12年学ぶと子どもたちは何をつかむのか。先生方は答えが出せるでしょうか。計算や問題が解けるという答えでは大間違いです。算数、数学はものの考え方を学ぶことが一番の目的なのです。ですから、英語を10年間学習してきたのに日常英会話さえできない大学卒がいるのはどうしてだと思いますか。英会話や交流を学ぶ目的にしないで、ひたすら英文を読むことをめざしたからです。