実践事例を見る(12)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 会津若松市立鶴城小学校
所在地 福島県会津若松市東栄町7番7号
URL http://www.kakujo-e.fks.ed.jp/sougou-da/index.html
電話 TEL:0242-27-0741 FAX:
学年 3,4,5,6学年
テーマ
3年「調べよう!ふしぎいっぱい鶴ケ城」
4年「あい隊!すてきなAIZUに…」
5年「学ぼう、ぼくもわたしも会津っこ」
6年「本当の「会津」に会いたい」
カテゴリー 地域、食

 地域学習を主とした取り組みになっています。取り上げられたテーマを以下に紹介しておきます。平成14年度の実践の概要が公開されています。

3年
猪苗代湖 「でき方・見れる鳥・面積など」
絵ろうそく 「作り方」
せんそうたたかい新聞 「江戸ばくふ」
せんそうの事ニュース 「せんそう、なんでせんそうをするのか」
4年
「小田橋の落書き湯川のにごりをおしえるよ」「湯川にゴミがいっぱい」「湯川の流れの速さと深さ」「こん虫しんぶん」「ずっと前見つけた虫」「湯川の橋を数えるよ」「会津の山発見」「湯川の生き物」「湯川はどこまで流れる」「赤べこと起き上がりこぼしのよさ」「まっ茶のひみつ」「道路隊」「絵ろうそく」「お米のひみつ大公開」「会津きょうどしょくのひみつ」「日本の祭りのひみつ」「会津の有名人新聞(池上四郎さんのこと)」「海老名すえまきについて」「お菓子の歴史吉田松陰、宇田成一、土方歳三」「わがし班」「会津の有名人新聞 松江豊寿さんについて」
5年
お酒調べ隊 「会津のお酒のおいしさのひみつを調べよう」
レッドカウガールズ 「赤べこの?ハテナをさぐろう」
「あめ・雨』グループ 「会津の昔からつたわるあめについて調べよう」
そばグループ 「会津のそばのひみつをさぐろう」
ウォーターAグループ 「会津のおいしい水のひみつをさぐろう」
ザ・キャンドルズ 「会津の絵ろうそくを詳しく調べよう」
米好き!グループ 「会津の米のおいしさを探ろう」
ドラゴンJr! 「こづゆのひみつをさぐろう」
Water Boys 「会津のおいしい水のひみつをさぐろう」
人にやさしく 「会津弁と人のよさを探ろう」
6年
「駄菓子について(長門屋・市図書館)」「町名の由来(市図書館・博物館・川野さん宅)」「みそ田楽について(満田屋・お秀茶屋・二丸屋)」「唐人たこ(竹藤・番匠・博物館)」「和菓子について(熊野屋菓子店・伊勢屋菓子店・柏屋)」「酒について(会津酒造歴史館・会津酒造博物館・末広酒造嘉永蔵)」「日新館について(会津藩校日新館)」「会津ラーメン(めでたいや)」「東山温泉について(東山ハイマートホテル)」「おきあがりこぼし(山田民芸工房)」「会津そば(夢見亭・鶴よし・栄安・町方伝承館・三四郎・笹の庵)」
たてわりびゃっこタイム
食卓グループ 「いろいろな流しめんを作ろう」
ごはんグループ 「みんなで遊ぼう」
フィッシンググループ 「釣り名人になろう」
タクティスグループ 「世界の料理を調べよう」
グリーンフラワー 「アウトドアクッキングをしよう」
スマイルグループ 「巨大ロボット作りをしよう」 
元気グループ 「みんなで仲良くやろう」
レインボー 「みんなで協力し楽しく作る活動をしよう」
協力グループ 「みんなで協力して活動しよう」
文ちゃん家グループ 「みんなで協力して楽しく思いっきり活動しよう」
きらめき3班 「世界の料理作りに挑戦しよう」
フルーツグループ 「いろいろな国と親しもう」
あべちゃんグループ 「みんなで協力して楽しく活動しよう」
原始料理人 「原始時代の料理を作ろう」

 
一通りご覧になってお気づきではないかと思います。地域のことについて調べるならば何でもありという内容が見えてきます。グループ学習でこれだけ広がりを持った内容になると、単に調べてまとめるだけに終わるのではないかと危惧されます。会津の特長を表しているものや伝統的なもの、偉人など、多くの素材が潜んでいるとは思いますが、網羅的な調べ学習に終始してしまうことを予想しなければなりません。つまり、子どもたちの第一段階での目的化したテーマを吟味不十分で実施すると以上のような結果が出てきます。
一方で、先生はグループ分けに振り回されるようにもなります。興味関心が定まらない子どもの説得にあたり、どこかに所属させようとするわけです。
 各学年で上がっているテーマを先生が分析して、学びが成立するものに限定し、共通するキーワードを設定することで、一過性でない、深まりや広がりのあるテーマに整理されると思います。
 異学年集団でのテーマを見ても、楽しめそうな活動なら、何でもいいという雰囲気しか伝わってきません。食なのか、国際理解なのか、遊びなのか・・・全体を束ねる学びのプログラムがありません。一見、子どもたちが自ら考えて実践した主体的な活動のようですが、活動のための活動でしかないという中身でした。
 平成15年度以降の着実な積み重ねが公開されていないのは、この学校だけではありません。東北6県の小学校のWEBページをずっと閲覧してきた結果から、以上のような感想を持ちました。「総合が始まる」という外部からの旗振りで、平成11年度以降、多くの実践や計画が公開されましたが、多くの学校で、現在はWEB公開が途切れています。言い換えると、学びに絶えうるだけの地域素材は意外と少ないのではないかと思います。積み重ねができていない学校ほど、出発点に立ち返って地域の特性を生かした学びの素材とプログラムを再度構築し直してほしいのです。
 総合的な学習の時間に限りません。生活科もしかり、ましてや教科の時間もしかりです。法的に縛られる中身が薄くなればなるほど、先生は先生としての専門性を生かして授業づくりをしなければなりません。授業づくりを支えるのは、先生自身の指導力です。素人が教えられるようなことを安直にしていたのでは、学力維持も学びの創造も望めそうにありません。教育界全体が混沌としているときだけに、管理職だけでなく、すべての先生がビジョンを持って、誰にでもビジョンを説明できなければ、先生としての自信は揺らいできそうです。