実践事例を見る(11)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 寒河江市立高松小学校
所在地 山形県寒河江市大字米沢643−2
URL http://academic3.plala.or.jp/takamatu/6nen_ume/top-hp/page001.htm
電話 TEL:0237-87-1022 FAX:0237-87-5310
学年 5,6学年(2年間)
テーマ
「みんな大好き谷沢梅 」
カテゴリー 地域、食

 地域の特産品を学習素材に選んだ実践はよくみかけます。ほとんどの場合が、学年を限っていたり、1年きりで終わったりすることが多いと思います。
 高松小の実践は、5年生の時から始まり、6年生で卒業するまでの2年間続いているところに特徴があります。以下に紹介されている項目を拾い上げてみました。

 
5年生 「ザ・チャンピオン谷沢梅」「谷沢梅歴史館」「谷沢梅料理レシピ研究」「谷沢梅健康広場」「良さ大発見」「おいしい漬け方大集合」「紹介谷沢梅の旅」「谷沢梅農家クローズアップ」
 6年生 「谷沢梅種飛ばし大会」「谷沢梅アイス開発」「梅プレゼント」「谷沢梅コンサート」「梅干し体操」「梅料理開発」「手作りキャンディー」「梅の本つくり」「ボランティアで施設に行く」

 
平成15年度に実践されたことがきちんと掲載されていれば、一つの素材でこれだけの広がりが展開できたという興味深いものになります。しかし、残念ながら、5年生の取り組みをもとに、6年生で意図的に課題づくりをされた結果までのようです。その後どう実現したのかは不明です。
 一つの素材で継続的に実践することは、学年が変わっても同じメンバーで、子どもたちの思いが育っているならば、担任が持ち上がりでなくとも十分可能なことです。ところが、子どもたちの思いが先行しすぎると、実現の見通しを吟味するまもなくとりかかってしまい、行き詰まることも多くなります。6年生段階での課題づくりの項目を見て、気になるところです。

 よくある年間計画では、地域の特産物を素材として取り組むのは○学年というように、学年を固定しています。学年が固定されている場合でも、必ず毎年取り組まれるとは限らないようです。ところが、一番気になるのは、これまで追究されてきたことが1年きりで埋もれてしまっているのではないか、ということです。
 課題づくりの時点でこれまでの取り組みを見せることは安易に流れてしまう心配があります。しかし、調べたり追究したりする段階では、共有しておきたい情報になると思います。これまでの取り組みがすべてではないという先生の受け止め方と、前年までの指導資料を整理して引き継ぐことが必要です。学習素材が子どもたちの学びに適しているかどうかは、こんなところからも判断できるでしょう。広がりや深まりが期待できない学習素材は一過性の取り組みで終わらざるを得ません。