実践事例を見る(9)
 「総合的な学習らんど」のWEB上に紹介している学校のリンク先をたどりました。
学校名 歌津町立名足小学校
所在地 〒988−0432 宮城県本吉郡歌津町字中山34
URL http://www4.ocn.ne.jp/~natari/natari/katudo/katudo.html
電話 TEL 0226−36−2009
FAX 0226−36−3881
学年 3,4,5,6学年
テーマ
3年「ワカメを育てよう」「大好き!おじいちゃん、おばあちゃん」
4年「海よ山よ」「心をつなごう」
5年「ザ・食」「花山宿泊体験学習」
6年「卒業研究」「会津宿泊体験学習」
カテゴリー 地域、食、環境、福祉

 特色のある実践例のねらいや内容を引用します。

3年「ワカメを育てよう」
●11月から翌3月までの5ヶ月で「種はさみ」「刈り取り」「ボイル・塩蔵」「芯抜き・箱詰め」「出荷・検査」の全生産工程を体験する。その体験を核に歴史,道具,育て方,生産量や値段などについてグループごとに調べ学習を展開していく。
3年「大好き!おじいちゃん,おばあちゃん」
●福祉領域のコンセプトは「ぼくと同じ,ぼくよりスゴイ」。弱者としていたわるのではなく,自分と変わらないことや自分よりもスゴイ存在であることに気付かせることである。3年生の高齢者福祉も,これまでデイサービスセンターでの交流に留まっていた活動を見直した。「知恵や技に触れ,尊敬できる素晴らしい存在であることに気付かせること」「インタビューなどの手法で喜びや心配などお年寄りの気持ちに触れさせること」を二本の柱に据えて学習を展開していく。
4年「海よ山よ」
●本校の環境教育のキーワードは循環である。社会科での学習を受け,循環の考えに基づいた子どもたち独自の「ゴミ減量作戦」を地域や行政に提案していく。同時進行でホタテ養殖を体験する。これは3年のワカメとは異なり,生産工程の体験ではなく,放置型養殖が自然界の循環のために成り立っていることに気付かせることをに主眼を置いている。二つの活動を再構成するものとして昨年は水山養殖場見学を行った。13度は隣町志津川町の自然環境活用センターを見学場所とした。
4年「心をつなごう」
●3年生の高齢者福祉の発展的な扱い。11年度から,視覚障碍を取り上げて実践した。数回にわたる全体での体験活動を核に,個々の疑問を集約してグルーピングした班ごとに調べ学習を展開させる。空間的な障害を克服するためインターネットや電話,FAXなどを方法として用いる子どもが多く,それらの学習スキルの取り立て指導も併せて実施した。
5年「ザ・食」
●自分たちで生産した作物だけで食事を賄う経験を軸に,食の安全,流通,自給などのトピックを加えて学習することで「食」に対しての課題を持ち,調べ,発表することができるようにする。


 WEB上のコンテンツは見たいところの一部がリンク切れになっていますが、子どもたちの生の声は少ないものの分かりやすくまとまっています。というのも、一連の流れがつぶさに紹介されているため、一つ一つの活動や体験が相互につながって見えてきます。
 体験活動は単発的なものになりやすい傾向があります。それを回避するためには、名足小の実践のように活動を相互に結びつける先生の意図が子どもに伝わることで可能になります。福祉の分野では、3年生での経験を4年生につなげ、一歩発展させる手法も有効です。
 今までに出会ったことがない実践として、5年生の自給自足の食事体験があります。地域の主要作物に着目する実践は数多くありますが、これは珍しいです。ただし、調味材料についてはふれられていませんから、食材だけのようです。海が近いところだけに製塩や3,4年生の養殖体験との関連が図られると、また違った面での広がりが期待できそうです。
 もう一つの特色として、学校行事のいくつかを子どもたちの主体的な取り組みに移行し、総合的な学習の時間に位置づけている実践があります。行事のねらいと総合的な学習のねらいをすりあわせることで可能となります。今までの行事の内容を踏襲しようとすると無理がありますから、学びの場、発表の場が確保されるよう柔軟に組み替えることで名足小は実現しています。
 情報の分野は、調べる、まとめる、発表するための手段として位置づけられていますから、順当な考え方です。「親しむ」から「活用する」という流れが先生方の意識に定着していると子どもたちも6年間で積み上げも確実にできると思います。