実践事例を見る(3)
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学校名 埼玉県熊谷市立籠原小学校
所在地 埼玉県熊谷市大字新堀1143
URL http://www.kagohara-e.ed.jp/
電話 TEL 048-532-4033
FAX 048-530-1249
学年 3,5,6年生
テーマ 「子どもたちの問題解決能力を伸ばす」
カテゴリー 地域調べ、命と心、食と健康、情報

 残念ながら、年間指導計画や一コマ、一コマの写真を見ても実践の中身が見えてきませんでした。意図しているのものはいくつか見えてきます。

 まず、5年生に掲載されている「命と心」。人権もしくは福祉を素材にしていますが、体験の項目が主で、交流がどのように行われていくのかは謎です。単発的な人権学習と銘打った内容に過ぎず、地域の中でどのように問題を発見し、どのように解決していくのかそのプロセスなり、成果は示されていません。本当に地域の中で生の声を聞きながら交流を深めていくのであれば、暮らしにつながる実践的な成果を示すことができると思うのです。体験が体験だけに終わると子どもたちの新たな発見はなかなか出てきません。
 同じ学年の「食と健康」についても同様のことが言えます。稲作体験と調べ学習が連続的な線の上に見えてきません。しばらくしてから振り返るわけですから、体験をしていくプロセスの中で、調べたい問題が発見できなければ、問題意識が薄れてしまいます。
 横断的な内容をシナリオづくりに取り入れているものの、問題解決すべき中身のシナリオが予想されていないのではないかと疑問に思いました。「命と心」、「食と健康」いずれの場合も子どもたちに何を学び取って欲しいのかという先生の思いは年間指導計画のどこにも表れてきません。子どもたちにさせることだけを示しているのは、果たして指導計画として役に立つでしょうか?
 次に、3年生と6年生の計画を読んでいくと、上記5年生と同じことが言えそうです。手順、方法、手段を羅列しています。何をどう学び取るかはやはり見えてきません。例えば、6年生の「情報」の意図することは、単に情報の扱い方に過ぎません。3学期に示された環境問題にいたっては、問題が先に示されていることが不思議です。3年生から社会科の横断的な構想があるのならば、問題発見は身近なところから見つけ、積み上げておくのが成り行きではないでしょうか?4年間を見通して「環境に優しい○○の町」というテーマのもとで、わが町の問題点、わがくらしの問題点を掘り起こしていきたいところです。
 最後に、かごはらタイムプロジェクト「トンボ池」について。池を作ることが目的のような形で実践を公開されていますので、子どもたちの問題意識をどのように集約していったのかは謎です。環境問題とトンボ池は接点がありますから、納得できるのですが、せめて学区の中でトンボが繁殖できる場所がどの程度あり、昔と比べて変化があったのかどうか気になるところです。つまり、実践が進展していく動機がつかめると池を作ることが目的ではないと伝えられるでしょう。トンボ=清流という先入観を持つ人が多いのではないかと思いますが、清流が条件ではないことは少し調べ学習を進めると分かることです。

 教科学習と違って、総合的な学習の時間では、学習内容や方法だけを年間指導計画に示すと「学び」の中身が見えにくくなります。「学び」のテーマ、子どもたちに学び取らせたいこと、予想される問題点や課題などを示していくと分かりやすくなると思いました。