実践事例を見る(1)
 今回からしばらくの間、WEB上で閲覧できる総合的な学習の時間の実践事例を見ていきたいと思います。引用後に消滅するものもあるかもしれませんが、できるだけ後を追いかけることができるようにしていきたいと思います。
 初回は、リンクしたところです。
学校名 静岡県磐田郡竜洋町立 竜洋東小学校
所在地 静岡県磐田郡竜洋町中平松 23
URL http://ebiimo.at.infoseek.co.jp/top-1.html
電話 Tel (0538)66-2034 Fax (0538)66-7908
学年 5年生
テーマ 「今日から、君も えびいも博士」
カテゴリー 地域素材・食

 サトイモは全国各地で栽培されていますが、「えびいも」という名前は初耳でした。地域の特産品として栽培されている作物に目を向けるきっかけがどこにあったかはつかめませんが、中学年のころの社会科学習が生かされているのではないかと想像します。
 「えびいも」という素材に絞り込めば、投げかけることは限られてきます。「えびいもってなあに?」「えびいも日記」「おいしいえびいも」のまとめに見られるように、特徴を調べ、自分たちで栽培し、調理するという明解な流れになっています。地域に出かけて、栽培農家の生の声を聞きながら、取材したことをまとめていきますから、グループ活動も設定しやすいでしょう。その中で、育て方や、調理の仕方も同時に取材していくことができます。そして、4,5月の早い時期に育て方をつかめば、自分たちが栽培しようという適期にも間に合い、関心意欲を持たせやすい素材となっています。
 ほかにも、学びの素材として優れていると判断できるところは、いくつか見られます。取材の結果、えびいもは高級料理店で使われているということ、作り手が減っているということ、作り方にコツがあること、お菓子の材料にもなっているということなどです。栽培農家にとっての課題、消費拡大という問題点の解決策としてえびいもチップスが考え出され、その延長線上に親子合作のレシピ集ができあがっています。その数12作品。
 取材とあわせて栽培の手ほどきを受ける際、陥りやすいのが一過性の交流。継続的に手助けを受けることは栽培農家の方々にとっては大きな負担になります。そこを乗り越えられるのは双方の熱意が一番ですから、仲介する先生の役割は大きくなります。地域密着で進めるよさは、継続的に交流ができなければ実現しません。この実践では、栽培日記や子どもたちの感想から、その苦労が伺えます。ただ、二人の担任の先生がどのように立ち回ったかは記されてなく、コーディネーターとしての優れた点は直接お聞きするしかありません。

 地域の特産品を素材にすることは多々あると思います。うまく組み立てられるかどうかは、1年間の流れを見通すことと地域の人材をコーディネートすることにつきるようです。机上のプランを練るときに、課題が見つかるだろうかという不安は意味がありません。なぜならば、素材を熟知していない先生にとっては見つけることができないからです。