未だに総合が・・・(4)
 前回までのヒントを参考に、いよいよ今月中にはオリエンテーションができる準備を進めているのではないかと思います。総合的な学習の時間の構築は、情報集めと理論だけで組み立てられるものではありませんから、実践を積み重ねて試行錯誤していただきたいのです。
 子どもたちに伝える言葉の一語一語が双方向になることで、学びの意味は伝わるようになります。このように伝えれば間違いないというマニュアル化した言葉はありません。伝えたいことが伝わっているという実感だけが手がかりです。実践事例を手元に置いて、同じように投げかけ、同じように説明し、同じように発問したとしても子どもたちは同じように反応しません。それは当たり前のことなのです。子どもたちは一人ひとり知識の量も、興味関心の方向も、考え方も違うからです。その微妙な受け止め方の違いに気づく先生になるために実践を積み重ねるわけです。

 一方で、先生自身が興味関心の高い教科や領域、あるいは意図的に力を入れている教科や領域は必然的に費やされる時間が多くなります。裏を返せば、やりにくいと感じている教科や領域は、振り替えられやすいはずです。道徳の時間が削られていた実態がそのことをよく示しています。
 小学校では担任が授業時間の管理をしています。融通がきくよさとごまかせるという欠点が隣り合っています。総合的な学習の時間がやりにくいからという理由で、割り当て時間が他の教科や領域に振り替えられることのないように願っています。もちろん、中、高校では教科担任制のため授業時間の管理が厳密に行われているので、起こりえない話です。
 余談になりますが、もはや小学校では1年間を通して同じ時間割を使うことができなくなっています。そのことを十分理解していれば、1年間の授業時間をきちんとカウントして、調整をしておられると思います。年間を見通しているかどうかがこうした些細な授業時間の管理にも表れてきます。もはや、行き当たりばったりの丼勘定は通用しなくなりました。

 しめくくりとして申し上げたいことは、一つだけ。総合的な学習の時間に限りませんが、子どもに要求していることを先生も実行してほしいと思います。学びに終わりはないという手本を示せる先生は、実践を積み上げられると考えています。