未だに総合が・・・(1)
 今年度は総合的な学習の時間の実施状況調査の結果に対応して一歩踏み込んだ規制がかけられました。そんなことお構いなしに、充実感を持って締めくくることができた先生方と、思うようにことが進まなかったと嘆いている先生方とに分かれそうです。ただ、子どもたちの振り返りを抜きに自分ではうまくいったと勘違いしている先生方もいそうです。
 そこで、相変わらず総合的な学習の時間が充実しない原因をこの時期に再度考えてみました。ともに授業づくりに参加したわけではないですから、表面化した部分だけの判断になりますが、いくつか問題点が見えてきます。
 まず、指導法が変わらない先生は、年間を通しての計画や単元の計画がどの教科でも行き当たりばったりではないかと心配します。計画があればできるというようなものではなく、指導者としての先生が計画は指導上必要不可欠のことであると自覚できていないことです。
 子どもたちにとって、1時間1時間の授業だけ単発的に受け止めていると、次にどのようにしていこうかという自発的な態度は生まれてきません。何をするにも先生の指示にお任せになってしまいます。どんなことをするか、どれくらい時間が使えるかというだけのことなのです。細かいスケジュールは必要ありません。子どもたちに一度にたくさん伝えても覚え切れないですから、大ざっぱな予定が先生にも子どもにもつかめることをお奨めするのです。
 そのためには、先生自身に投げかけたいテーマと展開の見通しが考えられていることが要求されます。「何をしてもいいです。時間は30時間あります。」と説明したのでは、手がかりがありません。
 例えば、もっと具体的に「教室から出るゴミは環境に影響を与えていないでしょうか?問題が見つかれば、私たちに何ができるか追求してみましょう。一学期に30時間を使って自分が取り組みたいことまでを組み立てます。実践をする時間、発表や広報をする時間も含まれています。」せめてこれぐらいの大づかみの計画が知らされなければ、子どもたちは自ら挑戦してみようという気にはならないでしょう。オリエンテーションの話し合いの中で、子どもたちと具体的な問題点や気づくことを掘り下げることによって、興味関心の乏しい子どもたちを刺激し、
学びの選択肢を増やしていくことができます。
 以上のような導入場面が話だけに終わらないように記録を残しておく工夫がいります。黒板にチョークで書いて、消してしまうと最初の手がかりは記憶に頼るしかありません。そこで、模造紙に書き足していくといつでも見直すことができます。
 新学期が始まった時点で1単位時間の中身、一単元の中身を大づかみで子どもたちに知らせていく方法を取り入れていただきたいと思います。可能な限り教科の時間や領域の時間に練習してほしいと思います。そうすることによって、指示待ちの子どもたちを作ることなく、次にすることを意識するような子どもたちに育てていくことができます。
 もちろん、担任が決まった時点では、子どもたちに提示することができる投げかけと計画を練っておくことはいうまでもありません。