総合的な学習とネットワーク
 実物以外に写真や動画のメディアが豊富になって、情報は得やすくなりました。それにともなって大量の情報から必要なものを検索する能力も要求されるようになりました。
 教育現場はどうでしょうか?活字と絵を紙の上に構成した書籍。活字と絵と音を磁気テープやディスクに構成したビデオやCD−ROM、インターネット。情報を発信する側の表現方法はほとんど進歩していないのが現状です。変わっているのは、情報を送り出すメディアの方法が多様になっただけです。本や新聞、CD、ビデオ、テレビ、ラジオなどは一方通行になりやすいメディアですが、インターネットは場合によっては瞬時に双方向になるメディアという点で特徴があります。
 総合的な学習を進めていくとき、情報教育という重荷に振り回されないように願っています。かつて、視聴覚機材が進歩を遂げるときに、その活用方法を学習されたことがあると思います。ところが、幅を利かせたのは、黒板とチョークと話でした。教育産業から販売されるメディア情報は内容が親切すぎて、「使いにくい」という先生と「使って教えた」つもりになる先生を作り出しました。学ぶことを大事にしていこうと思うと直接体験や実物に出会わせることがすぐれた学習素材であることを理解していなければなりません。
 教育現場にパソコンやインターネットが導入され、またまた情報教育が声を上げています。業界の宣伝文句にだまされないよう、どんなことに活用していけるかを実践して欲しいと思います。大量の文書が封筒で送りつけられ、会議でも大量の印刷物が配布されているのが現実です。磁気ディスクで情報がやりとりできるのに変化が鈍いのはなぜなのでしょう。
 データを共通化しない業界のわがままが一つの原因です。日本語ワープロのデータは変換しないと使えない現状が続いています。VHSとベータのビデオテープ競争、PCとDOS−Vのパソコン競争、ビデオディスク、DVDも同じ運命をたどってきました。業界の都合で消費者が不利益をこうむったことになりそうです。
 もう一つの原因は、データを共通化して誰とでも情報交換ができるように努力しないことがあげられます。日本語ワープロ組、一太郎組、WORD組が同居した中で、データを共通化する作業が面倒なわけです。学校組織の中でやりとりされる文書をデータベースとして一括管理されている学校はあるでしょうか。校内にLANネットワークがあればそれに越したことはありませんが、スタンドアロンのパソコン1台でも不可能ではありません。まずは校内のネットワークを整備することをとおして、WWWの持つ意図も理解していけそうです。
 総合的な学習でインターネットは情報を集めるにも便利ですし、情報を発信するのも簡単です。しかし、「インターネットをすれば総合的な学習になる」と錯覚しないよう「手段」としての役割を先生自ら学んで欲しいと思います。