指導要領一部改正(4)
 第1章 第3 6の配慮事項は3項目しかありませんでしたが、新たに2項目付け加えられました。(1)は144号で取り上げ、(3)の3番目の項目は(4)に移されました。

 (4)学校図書館の活用、他の学校との連携、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携、地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。

 学校図書館を活用するに当たっては、まず、条件整備がまともにできているかどうかが問題となります。というのは、自治体によって予算措置が異なりますから、条件整備の継続が打ち切られている学校もあると思います。
 平成5年に通達が出された学校図書館整備は新たな基準冊数にもとづいて5年計画で基準を充足するように都道府県教委を通じて市町村に促すものでした。ただし、国の補助事業ではなく、地方交付税を財源として予算を確保するものでした。通達に強制力はありません。毎年の調査の結果から基準を達成していない学校が多いことが判明し、再度通達が強化されるまで動かなかった自治体もあります。図書購入に使う予算が公共事業に消えたと言われる自治体さえあります。図書整備をきちんと位置づけてきた市町村では、現在も購入予算を確保しているのではないかと思います。
 整備が継続されているはずと文科省は冊数だけの調査で把握しているに過ぎません。活用するためには、中身の伴う予算確保が先になるでしょう。さて、あなたの学校では調べ学習に必要な図書が十分購入されていますか?
 学校図書館の実情としては、調べ学習にたえうるだけの蔵書がそろっているところは少ないでしょう。ましてや、小学校向けの資料はもともと少ないですから、少しずつ新刊を買い足していくしかありません。以前にも書きましたが、図書で調べることが目的にならない配慮だけは欠かせません。
 次に述べられている「連携」は、まだまだ学校が閉鎖的であることを示しています。学校のホームページを公開しているところは2〜30%ぐらいと予想します。正確なデータを収集していませんから検索サイトに上がってきている数からの見当です。その中で、総合的な学習の時間の取り組みを紹介している学校となるともっと割合は低くなります。
 サイトに載せられた実践はデータベースとしての価値があり、有用なことなのですが、サイト管理する先生の苦労は大きいでしょう。最も低いコストで情報交換が可能な場ができるものの、実現は学校任せというか、サイト管理をする先生任せというのが現状です。
 学校を外に向けて開くと口で言うのは簡単ですが、開いただけで連携ができたり、情報が双方向に流れたりすることにはならないはずです。連携するためには双方の都合がつかないとできません。さらに、何のために連携するかという目的もはっきりしていなければなりません。安易な連携は、連携ではなく、下駄を預ける関係になってしまうおそれがたぶんにあります。結果的に簡単に実現しにくい部分になると思います。


 学びの素材を学校の外に求めることは当然のことです。しかし、「活用」と「連携」という言葉で現場に促しても鈍い動きしかおこらない原因を考えた方がよさそうです。原因はいくつか考えられます。
・実践できていないから外に出る必然性がない。
・子どもの輸送手段に困っている。
・テーマにあう連携先が近くにない。
・自分だけでやる方が気楽である。
・外部の人と関わるのが煩わしい。
・・・先生の興味、関心、意欲の問題ですね。