総合的な学習と学校図書館
 学校図書館で調べ学習に困らない程度の蔵書が整備されている学校はまだまだ少ないのが現実ではないかと想像します。公費で図書購入が継続しているならば問題ないでしょうが、財源不足を理由に予算が組まれない事態があるとしたら、克服しなければならないでしょう。ただ、地方交付税の措置であって、国の補助金制度ではありませんから、交付された市町村の予算に対する姿勢が問題となります。はたらきかけて、理解を得ることは必要です。家計を切りつめながらも必要な本は買い求めることができる個人の事情と同じことで、旅行をする金はあっても本を買うゆとりはないという言い訳は通用しません。恒常的な図書整備費を確保することは、調べ学習を可能にする大切な条件整備となります。
 それでは、あなたが勤務する学校の図書室はどこにありますか?2階以上にある学校は、よい条件とはいえません。最も機能的な場所は、1階の玄関に近い部屋です。どの学年の子どもにとっても動きやすい位置は1階しかありません。空き教室が生じている学校なら、改善の余地は十分にあります。ぜひとも模様替えの可能性を大いに検討してほしいところです。毎日どの学年の子どもも通過する場所に図書室があると利用のしやすい動線上にあることになります。学習時間に限らず立ち寄れるよさがあります。たったこれだけのことで学校図書館の役割が大きく変わることは間違いありません。
 つぎに、あなたが勤務する学校の図書室の本はどのように並べられていますか?もし、日本十進分類にそって並べられているようでしたら検討の余地が大いにあると思います。文学作品が作家ごとに並んでいるとしたら、素晴らしい配慮だと私は思います。調べ学習用のシリーズもの、全集ものがひとそろいに置かれているとしたら、これまた素晴らしい配慮だと思います。私の蔵書部屋に並んでいる本はほぼこの約束に従っていますから、改めて調べる必要に迫られて、本を探すときもそうそう苦労しないよさがあります。図書分類に惑わされない蔵書整理が学校図書館では要求されると思います。販売店でも出版社別、作家別というのはかなり浸透している方法ではないでしょうか?
 では、あなたが勤務する学校の貸し出しにはまだ記入カードを使っていますか?相変わらず伝統的な方法が延々と続いている学校が多いと思います。ぜひバーコードシステムを導入したいところです。貸し借りの簡便さを促すだけでなく、データベース検索の優れた機能を利用できるよさがあります。キーワード検索ができることで、たとえ書名だけの検索であっても、調べたい内容に近いものを探す手軽さは能率的な方法をもたらします。大型店や物流になぜバーコードが使われているかは多くの説明は必要としないでしょう。バーコード利用のパテント料とデータベース入力の手数料を払うに値するだけのメリットはあると思います。
 教科書が変わるたびに赤刷りの指導書や準拠教材を購入している学校は多いのではないでしょうか?必要に迫られると予算を確保します。総合的な学習を進めようとするともっともっと本が欲しいと必要に迫られると、予算を確保して充実させられるのではないかと考えます。黙っていても予算はつきません。筋の通った要求をしていくことで調べ学習も充実し、実践も確かなものになるでしょう。