総合的な学習と組織的実践
 「総合的な学習」みんなでやりましょうというかけ声が聞こえてきませんか?組織的に学校全体の実践力を高めるのは望ましいけど、望みがたいというのが現実だと私は思っています。行き着くところは個々のやる気、指導力、プロ意識ではないでしょうか。このことは、同和教育の組織的な実践の経験を通して得た、私自身が主張したいことです。

 先生というのは、学校という組織の中に集団で存在するのですから、何とか足並みを作る方法を考えてみたいと思います。学級経営をしていて、教師の働きかけがなかなか通じない子どもたちがいると思います。人間関係がなかなか作れない状態の子どもたちです。先生の集団も同じではないでしょうか?
 一人一人の先生の考え方を一つの方向に向けると同時に一人一人の主体的な取り組みを尊重してリーダーシップがとれる先生の存在が欠かせません。強引な推進も時には必要でしょう。生産的でない意見に振り回されるぐらいなら、「実践で勝負しましょう。」「子どもの学んでいる事実で証明しましょう。」と言い切る方がよほど生産的な研究になります。大学で学問を修めた先生なのですから、それぐらい当たり前なのです。当たり前でない現実があるから、リーダーは苦労するわけです。以前のコラムの繰り返しになる部分もありますが、「みんなでやりましょう。」というときの条件を整理しました。

1「学ぶ」というモデルを先生自身が持っている。
2問題意識を持たせることのできる投げかけ素材を持っている。
3投げかけ素材から問題解決的な活動までをレポートできる。
4指導者として「学びの価値」を子どもたちに位置づけられる。
5子どもがつかんだ課題を検討しあえる。
6先生も学習者であるという原則を尊重する。
7実践の事実を謙虚に報告しあえる。
8知的好奇心を常に磨く。
9大きな声を出さなくても子どもを掌握できる学級経営者。
10終始一貫した、センスのある、子どもの言動ルールを持つ。

 まだまだ考えられるかもしれませんが、先生個人の資質と仲間意識を育むことが基本的な部分だと考えて整理したものです。
 やがて、組織的にできるようになると、個々の実践が同じレベルで情報交換できると予想します。他校の実践事例の何が研究の足しになるかもつかめるようになると思います。まさに、主体性は飾り物ではありません