礼儀
 礼儀作法ではありません。マナー、道徳でもありません。子育ての中で親が示して欲しい手本として礼儀を問題にしたいと思います。どちらが先に座るとか、お客さんの対応はこのようにするとか、作法が先に作られていないから、礼儀を問題にしたいのです。巷では、無礼者が目につくようになると教育のせいにしたり、親のせいにしたりして話題になります。人が複数集まったとき、好ましい人間関係を作っていくために、礼儀は必要になってきます。
 例えば、種をさしあげますとこのサイトで公開しています。種が欲しいとあちこちを探している方が、検索の結果ここにたどり着きます。書いてあるとおりに返信用封筒を同封した封書が届きます。受け取った後が様々なのです。依頼状と受取人の住所氏名、切手を貼った返信用封筒が同封され、自分の名前の下に空白を見込んで「行」「宛」を書いている場合はほっとします。
 切手を貼らずに投函したのか、途中ではがれたのかは分かりませんが、受取人に送られてしまい、こちらが払いましたと連絡しても反応がありませんでした。返信用封筒だけの場合もあります。自分の名前の下に空白を見込まないで「行」「宛」を書いているものもあります。返送してもあとはなしのつぶてということもよくあります。細かいことまでいいますと、中の依頼状がお願いをするという体裁を整えていない以前のこともあります。いわゆる、ぶしつけを通り越しているのです。
 逆に、丁寧な依頼状を書くことができる方は、後々まで丁寧です。はがきで礼状を送る方、メールでお礼を伝えてくださる方、お礼に変わった種を送ってくださる方など礼儀をわきまえた方に出会うとさすがだなと思います。自分が欲しいものを郵送料だけで分けてくださるのだから、ありがたいことだという思いが伝わってくるのです。いただいたらお礼をするという形式的なやりとりでなく、ありがたさを伝えることが一番大切なことなのです。ここを履き違えないように子どもに教えていただきたいと思います。ものをもらったらありがとうというんですよと教えるだけではいけません。
 方法や手順ではないということが、おわかりいただけると思います。相手に礼を尽くすという考えを大事にして子育てをすれば、人間関係を作るうえでよい結果をもたらします。子どもにとって最も身近な親が、手本を示して教えなければ身に付かないことです。
 でかけたとき、接客マニュアルをたたき込まれた店員さんの言葉に出会うと違和感を覚えることはありませんか。言い方だけ教え込まれると空々しい言葉になる例です。敬語を間違ったまま使っている場合は最悪です。お客さんに満足していただく方法の一つとして、礼儀を尽くすことが要求されていることを理解していれば、違和感を与えてしまうことはないでしょう。太鼓判が押せるものを最小限の言葉で提供するのは、決して無礼でもありませんし、高慢でもありません。