しつけの手だて
 ちょっと古い話を紹介します。「うちの子は何度注意してもゴミをゴミ箱に入れないんです。どうしたらいいんでしょう。」とお母さんは嘆いておりました。鼻をかんだ紙を所かまわず部屋に放り投げ、いらなくなった紙をまるめては放り投げるというのです。当然ゴミを入れる箱はあります。いくら言い聞かせてもゴミ箱には入れようとしなかったそうです。
 そこで、助け船が出ました。「手作りでいいから、ゴミを入れる箱をいっぱい作っておいてみてください。」さっそく実行してみると、今度は入れるようになったそうです。しかし、部屋中ゴミ箱だらけです。「1日に1つずつゴミ箱を減らしていってください。」見事にこのしつけの作戦はあたり、ゴミ箱が1つになったとき、子どもはきちんとゴミ箱にゴミを捨てるようになったそうです。
 これは目新しい方法ではありません。学級の中で子どもたちにしつけようとするときも効果的な方法なのです。自分がさせたいと思うことを直接口で説明して強制しようとしてもうまくいかないことの方が多いいでしょう。それよりも間接的に回り道した方がすんなりいくわけです。すべてこの方法に頼ることは不可能ですから、方法が思いつくものだけにしないと大変です。そうしないとついには子どもに見透かされてしまいます。
 もう一つの手だては根気よくルールを守り通すことです。自分ができもしないええかっこだけさせるルールではいけません。自分が身につけていて努力しなくてもいいものに限ります。几帳面な性格の人でしたら、意識しなくとも自然にやっていることだろうと思います。子どもの仕草が親の仕草に似てしまうことは、親のルールをまねて実行しているからに外なりません。
 だだをこねるのはルールに対する造反ですから、ご機嫌をとったり、妥協したりすることはルールがなかったことになるのですから、注意が必要です。
 「勉強しなさい」というのはしつけではありませんから、同じ方法をとらないでください。単なる親の願望です。毎日顔を合わすたびにしつこく言えば確実に勉強が嫌いになってしまうでしょう。