「北風と太陽」に学ぶしつけ方
 北風と太陽のお話はよくご存じのことと思います。子どもたちと向き合うとき、北風のようになっていないでしょうか。自分の都合で言うことを聞かせようと力づくで押しつける方法です。思い通りに操縦できないと強引さがエスカレートしたり、ついにはぶっちぎれて爆発したりすることを考え直していきましょう。
 例えば、時と場合をわきまえて「おとなしくしていなさい。」というようなことがあります。場合によっては、「けがをしたらいけないから、じっとしていなさい。」と厳しくいうことも必要でしょう。しかし、いつも北風のようにしていたら、言葉の持つ意味が素通りしてしまいます。「また、言っている、でも、従わなくってもどうってことないじゃない。」と受け止める側は冷めきっています。まさに、ぬかに釘状態なのです。
 では、太陽のようにじんわりと接するにはどうしたらよいでしょうか。「じっとしていると賢くなるんだよ。」という投げかけです。そして、「えらいね、辛抱強いんだね。」とべた誉めするのです。子どもが素直に受け入れるならば、やがて周囲の大人が「静かに待っててお利口だね。」とほめることでしつけは成功します。「ねっ。みんなからほめてもらってよかったね。やっぱり賢くなったんだよ。」と締めくくることができます。させたいことと違う方法を考えて、言葉をかけるだけのことですから、応用範囲は広いと思います。
 ただし、「賢くならなくてもいいもん。」という反発が出るようなら使えません。これは人間関係を作り直すことになります。素直に聞くことができなくなった原因は、かかわっている人がたびたび裏切ったり、受け入れられなかったりすることによります。まず、子どもの言い分をきちんと聞いて、納得しあえる関係をじっくり立て直していただきたいと思います。
 正面切って勝負すると反対行動をとってしまう北風の考え。自分が暑くなれば自然に脱ぐはずだと相手の考えに思いがいたる太陽。しつけの方法に限らず、人間を理解していくために大切にできる考え方です。気分転換に原文のイソップ童話を読んでみてはどうでしょうか。