子育てと花育ての共通点
 子どもはおなかがすくとご飯がほしい、おやつがほしいと言葉で訴えるでしょう。のどが渇けば飲み物がほしいと言うでしょう。しかし、植物は物言わず、ひたすらがまんして、ついには葉がうなだれてしまいます。やがては茎もうなだれてしまいます。ほしいというサインは子どもも植物も同じです。聞く耳を持ち、見る目を持つことが必要です。先回りをして、ほしいと思うものを勝手に与えてしまうのは、親切でも優しさでもありません。自己満足のお節介なのです。
 安易に要求に答えるだけでは支えになりません。与えすぎれば子どもは肥満という弊害にはまります。花は水をもらいすぎると根ぐされをおこして瀕死の状態にさえなりかねません。がまんのかげんと与えるタイミングが大切だということになります。だから、ほっておかず、聞く耳と、サインを見る目が必要なのです。
 花は種類によって性質が違います。サボテンとパンジーでは水やりの回数が異なりますから、よいことだと思って同じように扱うと花は大変迷惑を被るのです。肥料だって種類によって、たくさんほしがるものもあれば、ほとんどいらないものまで多様にあります。周囲の人がよいと進めるから、同じようにしても効果が上がらないこともあります。育っている元の環境と今の環境を比較しながら、花にとってベストの条件を整えるのがコツになります。
 子どもも一人ひとり違います。子ども一人ひとりを見極めていくということは、その子にとって本当に必要なことを理解することにつながるでしょう。兄弟姉妹分け隔てなく同じように育ててきたというのは、親の言い訳です。現実は分け隔てして、違いを認めながら育てています。